DESIGNER

Jordi Vilanova i Boschジョルディ・ビラノバ・イ・ボッシュ
1925年、スペイン・カタルーニャ地方に生まれ、バルセロナの美術工芸学校で学びながら、Casa Busquetsや木工職人 Lluís Gili(リュイス・ヒリ)の工房で家具製作の技術を習得。1952年に独立し、家具や照明、インテリアのデザインを開始。デンマークをはじめとする北欧の家具に深い関心を寄せ、パイン材やブナ材、オーク材などの明るい木材を用いながら、カタルーニャの伝統的な家具を現代の生活に適した形へと発展させました。
1960年には、陶芸家 Jordi Aguadé(ジョルディ・アグアデ)、画家 Joan Vila-Grau(ジョアン・ビラ=グラウ)、宝飾家 Aureli Bisbe(アウレリ・ビスベ)らとともに、芸術集団 La Cantonada(ラ・カントナーダ)を結成。建築家 Jordi Bonet(ジョルディ・ボネット)も参加し、家具、陶芸、ガラス、建築などの分野を横断した活動を展開しました。工業製品の大量生産とは異なり、伝統的な職人技を生かした少量生産を重視し、日常生活に根ざしたデザインの可能性を示しました。
代表的な Billar Chair(1960年)は、ビリヤードのキューを思わせる細長い後脚と、草編みや革を用いた座面が特徴です。地中海地方に伝わる素朴な椅子の構造を継承しながら、垂直方向に伸びる洗練されたフォルムによって、伝統と近代性を結びつけました。また、子どもの身体や生活空間に合わせた家具の開発にも力を注ぎ、Delta Stool(1964年)では、スペインのデザイン賞である ADI-FAD の銀賞を受賞しています。
1970年代には、無垢のパイン材を中心とした Aran Series(1971年)を展開。丸みを帯びた木製フレームや特徴的な取っ手を共通の意匠とし、収納家具からテーブル、椅子、ベッドまでを統一した造形で構成しました。モジュール式の収納や折りたたみ式テーブルなど、限られた住空間への配慮も随所に見られます。
家具の製作から空間全体の設計までを一貫して手がけ、伝統的な職人技を尊重しながら、機能性と現代的な生活様式を取り入れたビラノバの活動は、戦後カタルーニャの家具デザインと住空間の近代化に重要な役割を果たしました。
