Spectrum スペクトラム

   
オランダを代表する家具メーカー Spectrum(スペクトラム)。第二次世界大戦下の1941年、オランダ南部に位置するベルヘイクで、テキスタイルメーカー De Ploeg(デ・プルーフ)社から派生するかたちで設立されました。戦時中の原材料不足を背景に、木材や葦を用いた家具や生活用品の製造を開始。従業員が占領軍による強制労働へ送られることを防ぐ目的も、設立の背景にありました。また創業当初からGerrit Rietveld(ヘリット・リートフェルト)が製品の審査委員として関わっています。

1954年には Martin Visser(マルティン・フィッサー)がデザイン部門の責任者に就任。明快な構造と機能性を重視した家具を発表するとともに、リートフェルト、Friso Kramer(フリソ・クラマー)、Werner Blaser(ヴェルナー・ブラザー)、Ruud-Jan Kokke(ルード・ヤン・コッケ)らをコレクションへ招き入れ、戦後オランダの家具デザインを牽引しました。なかでも1960年に発表された BR 02 ソファベッドは、同社を象徴する代表作として知られています。

また、戦後オランダでモダンな住環境を広めた財団「Goed Wonen」にも参加。Pastoe(パストー)社やArtifort(アーティフォート)社らとともに、機能的で現代的な生活様式を提案しました。

素材を過度に装飾せず、構造そのものをデザインとして見せる端正な佇まいは、同社の家具に一貫する特徴です。2025年にはスペクトラム社のコレクションがパストー社のもとへ統合され、その思想と数々の名作は現在も受け継がれています。