FOCUS ONLayered
DESIGNER : Saki Tanaka , Nobuaki Sato , Tomoyo Tsurumi
AGE : Contemporary
OPEN : 12.9 sat. - 12.24 sun. 2023
Wed. Thu. Fri. Sat. Sun. & Holiday
OPEN HOUR : 12:00 - 19:00
CONTACT : 03 4285 4128
Layered 展
重なり。
それは、物と物が合わさることで起きる現象。
この定義は広く、私たちが生活をする上で視覚的あるいは内在的にいくつも存在しています。
時に技術を、彩りを、洋服を、想いを、経験を、伝統をー
種類は問わず、それらが調和し重なり合いできた現象は美しさや表現の幅といった物事の深みを増幅させ、私たちの生活に奥行きを与えてくれます。
対して、我々現代人はこれらを無意識のうちに目の当たりにしていることが多く、本来感じる美しさが削がれていくようにも思えるのです。
今回stoopでは、そういった”重なり”にフォーカスを当て、視覚的にも内在的にもそれらを色濃く表現する若手作家、田中里姫・佐藤伸昭・鶴見朋世によるグループ展を12月9日より開催。
ガラス、木工、テキスタイルの各分野で新たな価値・表現方法を探求する彼・彼女らの、約50点に及ぶ作品の展示・販売を行います。
それぞれの作品を構成する、『連なる・合わせる・編む・織る』といった過程の中に、伝統的な技法や作り手の思いなど、幾つもの要素が重なり響き合う。
これら作品や心情に触れることで、忘れかけていた美しさの輪郭を再認識する場を提供できればと願っています。
Artist Profile
Saki Tanaka(田中 里姫)
Glass Artist
石川県の工房にて、吹きガラスと焼成によって繊細なガラスの美しさを表現する作家 田中里姫。
幼い頃から丸という形に対して、特別な感情を抱いていた彼女。 しなやかで心地の良いフォルム。地面とのわずかな接点により生まれる浮遊感。 そのどれもが、彼女の造形に対する美的要素として反映されています。
彼女にとってガラスの薄さを追求することは、美と脆弱さをより際立たせ密接にしていく作業。
ガラスの脆く割れやすい儚さが、作品の生をクリアにしていく時、そこには一つの美しさが浮かび上がります。
さらに、形状をたわませ、自身の心情を色として反映することで作品に命が吹き込まれます。田中作品は、これら無数に張り詰めた緊張感の中に、彼女の柔らかな感情がそっと佇んでいます。
パッと目に飛び込んだ景色、現象、空気にふと惹きつけられ、心が動く。その瞬間的な心の動きは言葉では伝えることのできないほど複雑で、とても繊細な美しさを持つ感覚である。私は薄いガラスが持つ繊細な緊張感、複雑に光を取り込む透過性、熱と重力による柔らかな素材表現と共に、その感覚を追求したい。
田中 里姫
Instagram : @tanaka__saki
Nobuaki Sato(佐藤 伸昭)
Artist/Designer
都内を拠点に、ものづくりの”加工技術”をテーマとして探求を続ける作家 佐藤伸昭。
彼は制作を行う中で、加工によって素材が ”もの” へと変化する時、
それが言葉としての領域に分類されることで、ものづくりの本質が見落とされてしまう現状に疑念を覚えます。
合板と編み籠の加工技術は違えど、どちらも人との対話によって培われた時代の産物であるー と。そうした考えを自身の手によって色を付けていく佐藤。
工芸的背景をもつ編み籠と量産的背景をもつ合板、それらを同一の作品に共存させる。
加えて、どちらも同じ素材から生成させることで、二つの境界線をより曖昧な領域に落とし込みます。物としての形は違えど、人々が携わってきた軌道の美しさには変わりがない。
佐藤作品からは、先人と素材が繰り返してきた対話の一つ一つが手に取れるような、そんな感覚すらも覚えます。合板も籠も先人によって受け継がれてきた尊い知性です。私はこれら分類されてしまった知性領域をもう一度交わらせることで人と素材の間にあるものづくりの本質的な意味をもう一度認識したいのです。
佐藤 伸昭
Instagram : @nobuakisato8
Tomoyo Tsurumi(鶴見 朋世)
Textiles Artist
ロンドンを拠点に、手織りや機械を通して紡がれる表現を模索し、独自のテキスタイルを生み出す作家 鶴見朋世。
手織りによって生まれる風合い。機械による工業的で規則的な織り。
双方の表現を観察しながら、機械や構造が持つ表現の可能性を広げています。表現の原点は作家自身の中に漂う抽象的な感覚。
糸同士の構造や折り方は緻密に計算され、規則的なリズムで織りをなす。
それらを通して、彼女と素材が対話を行うことで、自身の抽象的な感覚を少しずつ紡いでいきます。こうした意識のもと、構造や色などの輪郭を少しずつ鮮明にしていくことで、自らも想像のつかない表情を可視化。
糸を言葉の代わりとして紡ぎ、自身の感情、時には日常の瞬間でさえも織り重ねた作品からは、詩的な情景すらも感じとれるようです。
余白を聞き、余韻を読むこと。そこから私の制作が始まります。日常に漂う、感覚的で曖昧な断片から流れる時間やリズムをテキスタイルとして紡いでいます。それは自分自身との対話でもあり、テキスタイルで表現することはそれを拡張する作業でもあります。
鶴見 朋世
Instagram : @tomoyotsurumi_
尽きることのない、素材との対話。
作風はそれぞれ違えど、歩み寄ってきた道のりは自然と重複するような。
3人の美しい作品群をこの機会にぜひご覧ください。
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Layered 展
会期:2023年 12月9日(土)〜 12月24日(日)
オープン:水・木・金・土・日曜+祝祭日(12時〜19時)
クローズ:月・火
会場:stoop
住所:東京都江東区白河2-5-10
清澄白河B2出口より徒歩3分
東京都現代美術館より徒歩6分
お問い合わせ:03 4285 4128
Layered COLLECTION
右:Untitle #002(成形合板) Nobuaki Sato
左下:心象のかさね #002 (ホットワーク、スランピング、火切り、ガラス) Saki Tanaka