Ingo Maurer GmbH社カタログより
Ingo Maurerによるスケッチ
DESIGNER

Ingo Maurerインゴ・マウラー
「光の詩人」と称される、ドイツを代表する国際的な照明デザイナー。
1932年、ドイツ・ライヒェナウ島で発明家の父のもとに生まれます。ドイツとスイスで活版印刷工として修業した後、1954年から1958年にかけてグラフィックデザインを学びます。卒業後は渡米し、ニューヨークとサンフランシスコでフリーランスデザイナーとして活動。世界的IT企業 IBMなどのプロジェクトに携わりながら視覚表現への理解を深め、のちの照明デザインに通じる独自の感性を育みます。
1963年に帰国し、1966年には自身のスタジオ「Design M」(後の Ingo Maurer GmbH社)を設立。初の作品にして代表作となる「Bulb(バルブ)」を発表します。電球の中に電球を収めるという革新的な構造によって従来の照明表現に新機軸をもたらし、彼の創作の方向性を決定づける作品となりました。
マウラーは「光の質は、形態より重要である」と語り、光そのものの魅力を引き出すことに情熱を注ぎます。白熱灯、低電圧ハロゲン、LED、OLED、ホログラムなど、照明技術の変遷とともに新たな表現を開拓し、詩的で遊び心あふれる作品へと結実していきました。
日本文化への関心も深く、来日を重ねるなかで素材や手仕事への理解を深めます。「MaMo Nouchies」シリーズや、「Uchiwa」ランプなど、和紙や竹を素材とした作品群はその影響を色濃く示しています。こうした日本での経験は光への理解をいっそう深める重要な転機になったと、彼自身が明言しています。
インゴ・マウラーの光への飽くなき好奇心によって生まれた作品群は200 点以上にもおよび、2019年に87歳で逝去するまで創作を続けました。
