DESIGNER
Gae Aulentiガエ・アウレンティー
1927年に生まれ、当時そのほとんどが男性社会であったイタリア建築界において、女性ならではの知性と感受性をもって仕事と向き合ったイタリアを代表する建築家。
1953年にミラノ工科大学を卒業後、1956年からはミラノで建築、インテリア、産業、舞台美術のデザインに携わる傍ら、55年から65年まで建築雑誌カサベラの編集に携わります。
ストッピーノなどネオ・リベルティ派の若手が多く参加した第12回ミラノ・トリエンナーレに参加、翌第13回ミラノ・トリエンナーレでは、イタリア館の展示でグランプリ受賞。64年には下部が照明、上部が花瓶の機能を持つユニークな照明 GLOVA デスクランプを Fontana Arte社で手掛けます。
こうして工業デザインで注目を集めた彼女は、次第に展示空間の仕事が増え、66年から67年にはイタリアを代表する企業オリベッティーのショールームを、翌年にはフィアット社のショールームといった一流企業とのコラボレーションによって、駆け出しデザイナーだった彼女の名声は瞬く間に国内外に広まります。当時フィアットのトップ(アニェッリ)からの信頼は厚く、その自宅改修を依頼されるなど、生涯にわたって家族ぐるみの付き合いとなりました。
こうして迎えた69年、恩師であるロジェルスの死を境に転機を迎えます。70年には個人事務所開設、設計活動に力をいれ個人住宅などを多数手がけます。70年台には建築家として国際的な名声を盤石なものにして、数々の代表作となる美術館プロジェクトへと繋がってきます。
鉄道駅を文化施設に回収したコンヴァージョン建築の先駆けであるパリのオルセー美術館で実績を得た彼女は、パリ ポンピドゥー内の近代美術館、バルセロナのカタルーニャ美術館の改修、サンフランシスコ・アジア美術館、東京のイタリア文化会館など、数々の建築を手掛けました。
こうして世界的なデザイナーの地位を確立した彼女は、建築から工業製品、オペラの舞台芸術まで、恩師ロジェルスの教えを守るかのように、あらゆるスケールの作品を残しました。